「結婚したいのにできない」——この状態の原因は、実は公的な調査で特定されています。国立社会保障・人口問題研究所の第16回出生動向基本調査によれば、25〜34歳の未婚者が独身でいる理由の最多は「適当な相手にまだめぐり会わないから」で、約4割以上を占めます。そして未婚者の約7割には、そもそも交際相手がいません。つまり多くの場合、問題は魅力や努力ではなく、単純に会っている人数が足りていないことにあります。この記事では、公的統計をもとに原因を5つに分解し、それぞれに対する現実的な打ち手を整理します。
「結婚できない」最大の理由は調査で判明している
4割以上が「適当な相手にめぐり会わない」と回答
社人研が2021年に実施した第16回出生動向基本調査では、独身者に「独身にとどまっている理由」を尋ねています。25歳以上の未婚者において、最も多かった回答が「適当な相手にまだめぐり会わないから」でした。25〜34歳では約4割以上がこれを選んでいます。
ここで注意深く読みたいのは、この回答が「結婚したくない」でも「経済的に無理」でもないという点です。結婚の意思はある。条件も整っている。ただ相手に出会えていない。これが最も多い状態だということです。
未婚者の約7割に交際相手がいない
もう一つ重要な数字があります。同調査系統のデータでは、未婚者の約7割には交際相手がいません。この数字が示すのは、結婚以前に「交際」の段階で止まっている人が圧倒的多数だということです。
婚活の議論では、しばしば「理想が高すぎる」「努力が足りない」といった個人の問題として語られます。しかし、7割が交際相手を持っていない状況で個人の資質を論じても、あまり意味がありません。これは個人の話ではなく、出会いの構造の話です。
背景には、出会いの場そのものの減少があります。かつては職場での紹介や見合い、地域のつながりが機能していました。職場恋愛が減り、地縁が薄れ、飲み会の文化も縮小した結果、意識的に動かなければ異性と知り合う機会が発生しない社会になっています。
これは良し悪しの話ではありません。人間関係への干渉が減ったのは、多くの人にとって歓迎すべき変化でもあります。ただし副作用として、結婚したい人が自力で出会いを作らなければならなくなったという現実があります。この構造を理解しないまま「なぜ自分だけ」と考えると、原因の特定を誤ります。

自分に何か欠陥があるのでは、と考える前に、この1年で異性と何人と会ったかを数えてみてください。原因はたいていそこにあります。
数字で見る、結婚を取り巻く環境の変化
「昔はみんな結婚できていたのに」と言われることがあります。その通りで、環境が根本的に変わっています。
50歳時未婚率の推移
| 年 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 1980年 | 2.60% | 4.45% |
| 2015年 | 24.77% | 14.89% |
| 2020年 | 28.25% | 17.81% |
1980年に男性2.60%だった50歳時未婚率は、2020年には28.25%まで上昇しました。40年で約11倍です。女性も4.45%から17.81%へと4倍に増えています。
この数字が意味するのは明快です。1980年に結婚しなかった人は例外的な少数派でしたが、現在は男性の4人に1人以上がその位置にいます。あなたの親世代が「普通に結婚できた」のは、環境がそれを可能にしていたからであって、努力量が違ったからではありません。
婚姻件数そのものが減っている
令和5年の婚姻件数は474,717組で、前年の504,930組から30,213組減少しました。婚姻率は人口千対で3.9です。単年でこれだけ減っているという事実は、個人の努力とは別次元の変化が進んでいることを示しています。
この前提を共有しておくことには実用的な意味があります。「結婚できていない自分は劣っている」という自己認識は、統計的に誤りです。そして誤った自己認識は、次に説明する判断の歪みを生みます。
自己評価が下がった状態で婚活を始めると、まず条件面で必要以上に譲歩します。次に、相手からの扱いが多少悪くても「自分にはこれくらいが妥当だ」と受け入れてしまいます。その結果、本来なら選ばなかったはずの相手と関係を続けることになります。
統計を確認しておくことの実用的な価値は、ここにあります。数字を知っていれば、「結婚していないのは自分に問題があるからだ」という前提そのものを疑えます。正確な現状認識は、判断を守るための装備です。
結婚できない理由を5つに分解する
ここからは、実際に何が起きているのかを5つに分けて見ていきます。自分がどれに当てはまるかを特定できれば、打つべき手も決まります。
理由1:出会う母数が絶対的に足りない
最も多く、そして最も解決しやすい理由です。職場と自宅を往復する生活では、新しい異性と会う機会はほぼゼロになります。学生時代のように、放っておいても同世代が周囲にいる環境は、社会人になると失われます。
確認方法は簡単です。この1年間で、初対面の異性と何人会いましたか。この数が5人を下回っているなら、原因はここです。条件を緩めることでも、自分を劇的に変えることでもなく、単純に人と会う機会を増やすことが解決策になります。
理由2:希望条件が市場とずれている
条件そのものが悪いのではありません。問題は、その条件を満たす人が市場にどれだけいるかを知らないまま探していることです。
たとえば年収、年齢、居住地、婚姻歴、子どもの有無。これらを重ねるほど該当者は急速に減ります。3つの条件がそれぞれ上位30%だとしても、すべてを満たす人は理論上2.7%まで絞られます。条件を持つこと自体は当然の権利ですが、その条件下で何人が対象になるのかは知っておくべきです。
理由3:判断を先送りしている
会ってはいるが、進展しない。この場合の原因は「もっといい人がいるかもしれない」という保留です。保留は選択肢を残しているように見えて、実際には関係を育てる時間を消費しているだけです。
対処法は、判断の期限を先に決めることです。3回会って判断する、という基準を持つだけで、意思決定の速度は変わります。
理由4:選ぶ側の視点しか持っていない
見落とされがちですが重要な点です。婚活では誰もが選ぶ側であると同時に、選ばれる側でもあります。相手の条件は詳細に検討するのに、自分がどう見えているかは検証していない——このアンバランスが起きていると、なかなか前に進みません。
ここでいう「選ばれる努力」は、無理に自分を変えることではありません。写真が実物より悪く写っていないか、プロフィールで伝わるべき情報が抜けていないか、初対面で緊張が不機嫌に見えていないか。伝達の精度の問題であって、人格の問題ではありません。
理由5:不安を煽る情報に振り回されている
「◯歳を過ぎたら終わり」「今動かないと手遅れ」といった情報は、婚活サービスへの誘導を目的として作られていることが少なくありません。こうした情報に接し続けると、焦りから判断が粗くなり、合わない相手を選んだり、高額なサービスに飛びついたりします。
成婚率などの数字がいかに操作可能かについては結婚相談所の成婚率はたった8.4%!数字トリックの手口で詳しく扱っています。数字を見るときは、その数字が何を数えたものかを必ず確認してください。
母数を増やすための現実的な手段
理由1に該当する方が最も多いため、ここを具体的に扱います。手段ごとの特性を比較します。
| 手段 | 費用の目安 | 会える人数 | 相手の本気度 |
|---|---|---|---|
| マッチングアプリ | 月3,000〜4,000円 | 多い | ばらつきが大きい |
| 自治体の婚活支援 | 登録料1万円台〜 | 限定的 | 高い(書類提出あり) |
| 婚活パーティー | 1回3,000〜6,000円 | 1回で数人〜十数人 | 中程度 |
| 結婚相談所 | 年20万〜50万円 | 月2〜数名の紹介 | 高い |
| 友人の紹介 | 無料 | 非常に少ない | 高い |
重要なのは、これらは排他的な選択肢ではないということです。月会費のかからない手段は、掛け持ちしても負担が増えません。たとえば東京都在住・在勤なら、登録料11,000円で2年使えるTOKYO縁結びのような自治体サービスは、他と併用する前提で持っておく価値があります。
逆に避けたいのが、1つの手段だけに絞って結果が出ないまま数か月を過ごすことです。母数が足りないことが原因なのに、母数を増やさない対策を続けても改善しません。
組み合わせを考えるときの基準は、「費用が固定でかかるもの」を1つに絞り、「かからないもの」は複数持つという形です。月会費のかかる結婚相談所やマッチングアプリを2つ3つ並行すると、支出だけが膨らみます。一方、登録料だけで済む自治体サービスや、都度払いの婚活パーティーは、掛け持ちの負担が小さくて済みます。
もう一つ、表を見るときに意識してほしいのが右端の「本気度」です。会える人数が多い手段ほど、相手の目的はばらつきます。結婚を前提としない人も混ざるため、数は多くても効率が良いとは限りません。逆に結婚相談所は紹介数が少ない代わり、相手は全員が結婚を前提にしています。数と質は、多くの場合トレードオフの関係にあります。
条件のずれを直す3つの手順
- 条件を全部書き出す/頭の中にあるものをすべて紙に出します。書いてみると想像以上に多いことに気づきます
- 「絶対」と「できれば」に分ける/絶対に譲れない条件は3つまでに絞ってください。それ以上は探索範囲を過度に狭めます
- 「できれば」の条件で相手を落とさない/実際の運用ではここが崩れがちです。優先順位を決めた意味がなくなります
3つに絞る作業は、多くの人にとって想像以上に難しく感じられます。それは条件を減らすことが「妥協」だと感じられるからです。しかしこれは妥協ではなく、優先順位をつける作業です。
すべてを同じ重さで求めると、結果として何も選べません。本当に重要な3つを守るために、それ以外を柔軟にする——これが条件設定の目的です。年代別の市場の現実については30代女性の婚活は本当に厳しい?もあわせて参考にしてください。
3つを選ぶときのコツは、「結婚生活が続くかどうかに直結するか」で判断することです。金銭感覚、生活リズム、子どもを持つかどうかの考え方。こうした項目は、ずれていると日常が成立しません。一方で身長、学歴、勤務先の知名度は、生活の質に直接は影響しません。
この基準で並べ替えると、多くの人の条件リストは組み替わります。これまで最優先にしていた項目が、実は生活に関係のない指標だったと気づくこともあります。妥協ではなく、精度を上げる作業だと考えてください。
ここで気をつけたいのが、生理的な違和感まで「条件」として切り捨てないことです。話していて疲れる、一緒にいると緊張する、といった感覚は、言語化しにくいぶん軽視されがちですが、長く一緒に過ごすうえでは年収や学歴よりはるかに重要な要素です。減らすべきは数値化できる条件であって、感覚のほうではありません。
「解決策」として推奨できないもの
逆に、よく勧められるが実際には効果が薄い、あるいは害になる対処も挙げておきます。
| よくある助言 | 問題点 |
|---|---|
| 「理想を下げなさい」 | 条件の問題ではなく母数の問題である場合、何も解決しません |
| 「自分磨きをしなさい」 | 方向が定まらないまま続けると、行動が先送りされます |
| 「とにかく数を打て」 | 準備なしの数打ちは、断られ続けて消耗するだけです |
| 「高額なサービスに入れば解決する」 | 費用と成果は比例しません。使い方次第です |
| 「年齢的に今しかない」 | 焦らせて判断を鈍らせる典型的な話法です |
特に1つ目の「理想を下げろ」は、最も安易に投げかけられる助言です。しかし調査データが示すのは、そもそも出会えていない人が大多数だという事実でした。会っていない相手に対して、理想の高低は関係ありません。
この助言が有害なのは、原因の特定を誤らせるからです。母数が足りない人が理想を下げても、状況は変わりません。変わらないまま「下げたのにダメだった」という失敗体験だけが残ります。
2つ目の「自分磨き」も同様です。方向が定まっていない自分磨きは、行動を先送りする口実として機能してしまいます。「もう少し痩せてから」「資格を取ってから」と条件を積み上げるうちに、実際に人と会う時期が延び続けます。磨くべき点は、実際に会ってみて初めて分かるものです。
5つ目の「年齢的に今しかない」については、特に警戒してください。この話法は、判断のための時間を奪うことを目的としています。急がされている感覚があるときは、相手に何らかの利害があると考えて構いません。本当に必要なのは急ぐことではなく、正しい原因に対して手を打つことです。
まず特定すべきは「どこで止まっているか」
整理します。「結婚したいのにできない」という状態は、次のどこかで止まっている状態です。
- そもそも会っていない/未婚者の7割がここ。対策は母数を増やすこと
- 会うが交際に進まない/伝え方と条件のずれを見直す段階
- 交際するが結婚に至らない/判断の先送りが起きている段階
この3つでは、打つべき手がまったく違います。1で止まっている人が「話し方」を勉強しても意味がなく、3で止まっている人が「出会いを増やす」努力をしても解決しません。まず自分がどこにいるかを特定してください。
そして最後に、統計が示す事実をもう一度確認しておきます。50歳時未婚率は男性28.25%、女性17.81%。婚姻件数は年間で3万組減少しています。結婚していないことは、あなた個人の失敗ではありません。
そのうえで結婚を望むなら、必要なのは自己否定ではなく、止まっている場所を特定して、そこに合った行動を取ることです。具体的な出会いの作り方については結婚したいのに相手がいない…理想の相手と出会うための具体的な方法でも扱っています。焦る必要はありませんが、動かなければ母数は増えません。今日できるのは、そこだけです。
最後に一点だけ付け加えます。この記事は「結婚したい人」に向けて書いていますが、結婚しないという選択が劣っているという前提は取りません。50歳時未婚率が男性28.25%という社会では、結婚は標準ルートではなく、数ある選択肢のひとつです。
だからこそ、まず確かめてほしいのは「自分は本当に結婚したいのか、それとも周囲がそう言うから焦っているのか」という点です。ここが曖昧なまま行動すると、努力が続きません。動機が外から来ている場合、そもそも婚活が苦痛にしかならないためです。
自分の意思で望んでいると確認できたなら、あとは原因を特定して手を打つだけです。7割が交際相手を持たない社会で結婚するには、意識的な行動が要る。それは能力の問題ではなく、単に必要な手順だというだけの話です。
※本記事に記載の統計は、国立社会保障・人口問題研究所「第16回出生動向基本調査(2021年)」、2020年国勢調査、厚生労働省の人口動態統計に基づきます。



