東京都のAIマッチングシステムは、2024年9月20日に「TOKYO縁結び」として一般開放され、すでに本格稼働しています。気になるのは実際の成果でしょう。2026年6月30日時点で登録者は約16,000人、真剣交際に進んだのが760組、結婚まで進んだのが265組と公表されています。費用は登録料11,000円のみで2年間使え、月あたりに直すと約458円。一般的なマッチングアプリの8分の1以下です。この記事では、公表された数字から実際の成婚率を計算し、他の婚活手段と費用を比較したうえで、どういう人が使うべきサービスなのかを整理します。
TOKYO縁結びとは?東京都が運営するAIマッチングシステム
TOKYO縁結びは、東京都の結婚支援事業「TOKYOふたりSTORY」の一環として運営されているAIマッチングシステムです。民間企業ではなく自治体が直接運営している点が、他のあらゆる婚活サービスと決定的に違います。
2024年9月に一般開放された
当初は交流イベントの参加者など先行利用者に限定して運用されていましたが、令和6年(2024年)9月20日から一般に開放されました。「いつから始まるのか」と待っていた方にとっては、すでに1年半以上運用されており、実績データも公表されている段階です。
費用は登録料11,000円のみ、2年間有効
料金体系は極めてシンプルです。
11,000円を24か月で割ると、月あたり約458円です。婚活サービスとしては異例の水準で、これは営利事業ではなく少子化対策の一環として税金で運営されているためです。追加課金でユーザーを引き止める必要がないので、アプリにありがちな「有料オプションを買わないと何もできない」という構造とは無縁です。
この点は、婚活サービスを評価するうえで見落とされがちですが本質的です。民間のマッチングアプリや結婚相談所は、利用者が退会すると収益が止まるビジネスモデルで運営されています。だからこそ、成果が出ないまま在籍し続ける利用者が収益を支えるという構造が生まれます。これは事業者を責める話ではなく、単に仕組みがそうなっているというだけのことです。
一方でTOKYO縁結びは、登録料を1回受け取った後は、利用者が長く在籍しても収益は増えません。むしろ早く成婚して退会してもらうほうが事業目的にかなっています。利用者と運営の利害が一致している数少ないサービスだと言えます。

運営が利益を追う必要のないサービスは、婚活業界では他にありません。ここがTOKYO縁結び最大の特徴です。
公表された実績を数字で読む【2026年6月末時点】
ここが本記事の核心です。公表されている数字を、そのまま受け取るのではなく計算してみます。
| 項目 | 数値(2026年6月30日時点) |
|---|---|
| 申込数 | 約36,000人 |
| 登録者数 | 約16,000人 |
| 真剣交際に進んだ組数 | 760組 |
| 結婚まで進んだ組数 | 265組 |
申込の半分以上が登録に至っていない
まず注目したいのが、申込36,000人に対して登録者が約16,000人という点です。申込者の約44%しか登録に至っていません。半分以上が途中で脱落しているわけです。
これは悪い数字ではなく、むしろ審査が機能している証拠です。TOKYO縁結びでは独身証明書・収入証明・本人確認書類の提出に加え、面談による本人確認が行われます。書類を揃えるのが面倒でやめた人、条件を満たさなかった人がこの差分です。裏を返せば、実際に登録できている16,000人は全員が公的書類で身元を確認された人だということになります。
結婚265組から成婚率を計算する
265組が結婚したということは、530人が結婚に至ったということです。登録者16,000人を分母にすると、次のようになります。
| 指標 | 人数 | 登録者16,000人に対する割合 |
|---|---|---|
| 真剣交際に進んだ人 | 1,520人(760組) | 約9.5% |
| 結婚まで進んだ人 | 530人(265組) | 約3.3% |
結婚まで到達したのは、登録者の約3.3%。この数字だけを見ると「低い」と感じるかもしれません。大手結婚相談所が掲げる成婚率20%台と比べれば、確かに見劣りします。
ただし、この数字を他社と単純比較してはいけない
ここが重要なところです。比較するには、分母と「成婚」の定義を揃えなければ意味がありません。
結婚相談所の基準でいう「成婚」に近いのは、真剣交際に進んだ760組のほうです。こちらで計算すれば約9.5%になります。同じサービスでも、どの数字を切り取るかで3.3%にも9.5%にもなる——これが婚活業界で成婚率が当てにならない理由そのものです。この構造については結婚相談所の成婚率はたった8.4%!数字トリックの手口で詳しく解説しています。
むしろ評価すべきは、東京都が「結婚まで進んだ組数」という最も厳しい定義の数字を公表している点です。民間事業者なら、まず出さない数字です。数字を盛る動機がない運営主体だからこそ出せる情報だと言えます。
費用は他の婚活手段と比べてどれくらい安いのか
成婚率だけで判断せず、費用と合わせて考えると評価は一変します。2年間活動した場合の総額を比較します。
| 手段 | 2年間の総額 | 月あたり |
|---|---|---|
| TOKYO縁結び | 11,000円 | 約458円 |
| マッチングアプリ(月3,500円想定) | 84,000円 | 3,500円 |
| 仲人型の結婚相談所(月会費16,500円想定) | 約48万円 登録料・初期費用込み | 約2万円 |
結婚相談所と比べると、費用はおよそ44分の1です。仮に成婚率が結婚相談所の6分の1だったとしても、費用対効果では圧倒的に上回る計算になります。相談所の料金構造についてはパートナーエージェントの料金と成婚率で実額を出しているので、比較の材料にしてください。
もちろん、費用が安いぶんサポートは限定的です。専任の担当者が付いて紹介文を書いてくれたり、断られた理由をフィードバックしてくれたりはしません。「安いから劣っている」のではなく、「サポートを買っていないから安い」という理解が正確です。
ではサポートにいくらの価値があるのか。仲人型の相談所とTOKYO縁結びの差額は、2年間でおよそ47万円です。この47万円で買えるのは、紹介文の作成、日程調整の代行、そして断られた理由のフィードバックです。特に3つ目は自力の婚活では絶対に得られない情報で、行き詰まっている人にとっては価値があります。
逆に言えば、まだ婚活を始めたばかりで、自分に何が足りないかも分かっていない段階でいきなり47万円を払う必要はありません。まず11,000円で市場に出てみて、何回か断られてから考えるという順番のほうが、支出としては合理的です。
入会条件と、提出が必要な書類
対象になる人
見落とされがちですが、「在勤・在学」も対象に含まれます。都内に住んでいなくても、都内の会社に勤めている、都内の学校に通っているなら利用できます。神奈川・千葉・埼玉から都内に通勤している方は、この条件に該当する可能性が高いので確認してみてください。
独身証明書などの提出が必須
登録には、独身証明書・収入証明書・本人確認書類の提出が求められます。さらに面談による本人確認も行われます。マッチングアプリのように、メールアドレスだけで始められるサービスではありません。
この手間が、申込36,000人に対して登録16,000人という数字を生んでいます。ただしこれは利用者にとっての防御でもあります。既婚者や身元を偽った人が入り込む余地が構造的に小さい環境は、それ自体が価値です。
なお、独身証明書は住民票のある役所ではなく本籍地の市区町村でしか発行されません。ここを間違えると1日を無駄にします。取り方は独身証明書の取り方|請求先は本籍地にまとめているので、登録を決めたらまずこちらを確認してください。郵送で取り寄せる場合は2週間程度かかります。
面談があることの意味
書類だけでなく、オンラインでの面談が組み込まれている点も特徴です。書類は偽造や使い回しが理論上は可能ですが、本人が画面に出て話すという工程を挟むことで、なりすましのハードルが一段上がります。
面談と聞くと審査されるようで身構えるかもしれませんが、内容は本人確認と利用方法の説明が中心です。結婚相談所の入会面談のように、その場で契約を迫られることはありません。運営に売上目標がない以上、勧誘される理由がないのです。この点は安心して臨んでよいでしょう。
登録からお見合いまでの流れ
- 会員登録フォームから入会を申し込む
- オンラインで面談を受ける/本人確認を兼ねています
- プロフィール・自己PR・希望条件を入力し、必要書類をアップロード
- 価値観診断テストを受ける/自分の価値観と、相手に求める価値観に回答します
- AIが相性の良い相手を紹介/診断結果をもとにマッチングされます
- システム上でお見合いを申し込む/連絡先を交換せずにお見合いできます
- お互い好感触なら交際スタート/ここから連絡先の交換も可能になります
手順6の「連絡先を交換せずにお見合いできる」という点は、実務上かなり大きな利点です。会う前にLINEを渡す必要がないため、合わなかった相手からの連絡が続くという事態を避けられます。マッチングアプリでLINE交換後にしつこく連絡が来る、というトラブルはこの仕組みでは起きません。
手順4の価値観診断は、写真や年収といった条件ではなく内面の相性を軸にマッチングするという設計思想の表れです。条件検索で埋もれてしまう人にとっては、有利に働く可能性があります。
ただし、価値観診断に回答するときは正直に答えてください。「こう答えたほうがモテそう」と考えて実際の自分と違う回答をすると、AIは違う人物としてマッチングを組みます。その結果、会ってから話が噛み合わない相手ばかり紹介されることになります。診断を攻略しようとするのは、結果的に自分の首を絞める行為です。
手順3のプロフィールと自己PRも同様です。ここが空欄に近い状態だと、AIが判断する材料が診断結果しかなくなります。面倒でも、自己PRは具体的なエピソードを入れて書いてください。趣味を単語で並べるのではなく、それをどう楽しんでいるかまで書くと、読んだ相手が反応しやすくなります。
メリットとデメリットを整理する
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 2年間で11,000円と圧倒的に安い | 都内に在住・在勤・在学でないと使えない |
| 公的書類と面談で身元が確認されている | 登録までの手続きが重い |
| 追加課金・成婚料が一切ない | 専任担当者によるサポートはない |
| 連絡先を交換せずお見合いできる | 紹介される人数に限りがある |
| 価値観診断による内面重視のマッチング | 中心年齢層は30代。年齢層が合わない場合がある |
| 運営が利益を追わないため煽られない | スマホ・PCを自分で操作できることが前提 |
デメリットとして挙げた「紹介人数に限りがある」という点は、月に数名という規模だと考えておいてください。大量の相手を検索して片っ端から申し込む、という使い方はできません。アプリのように毎日新しい候補が流れてくる体験を期待すると、物足りなく感じます。
年齢層についても補足します。利用者の中心は30代で、体験談では30〜45歳あたりが多いという声が目立ちます。20代前半の相手を探している場合や、50代以上の場合は、母数が薄くなる可能性があります。ただし登録料が11,000円である以上、合わなかったときの損失は限定的です。
この「損失が限定的」という点は、実は精神面でも効きます。月2万円払っている相談所では、成果が出ない月が続くと焦りが生まれ、その焦りが妥協を招きます。費用のプレッシャーがない環境では、納得できない相手を無理に受け入れる必要がありません。
婚活で最も避けたいのは、支払った金額を回収しようとして判断が歪むことです。その意味で、月会費のないサービスは冷静な判断を保ちやすい環境だと言えます。
向いている人・向いていない人
向いている人
向いていない人
もっとも、4番目については考え方を変えたほうが得です。書類の手間は、あなたが出会う相手も全員が越えているハードルです。この面倒さこそが、このサービスの会員品質を支えています。
マッチングアプリで業者や既婚者に時間を奪われた経験がある方なら、この価値は理解しやすいはずです。誰でもすぐ始められるサービスは、誰でもすぐ始められる人が混ざる。入口が緩いことと、安心して使えることは両立しません。
2番目の「手厚いサポート」についても補足します。サポートが必要かどうかは、自分の婚活の段階によって変わります。まだ誰にも会えていない段階なら、必要なのは出会いの数であってサポートではありません。一方、お見合いはできるのに交際に進まない、という段階まで来たなら、第三者のフィードバックには投資する価値があります。段階に応じて手段を切り替えるのが、費用を無駄にしない進め方です。
登録前に確認したい3つのこと
- 在住・在勤・在学のいずれかに該当するか/都外在住でも都内勤務なら対象です。まずここを確認してください
- 本籍地はどこか/独身証明書は本籍地でしか取れません。遠方なら郵送で2週間かかります
- 他の手段と併用する前提があるか/紹介数が限られるため、これ一本に絞ると活動量が不足します
総じて、TOKYO縁結びは「安く、身元が確認された相手と、内面重視で出会える。ただしサポートはなく、紹介数も多くない」というサービスです。単独で完結させるより、併用の一つとして持っておくのが現実的な使い方でしょう。月会費がないため、登録したまま放置しても追加費用は発生しません。
婚活サービスでは、期限を切って不安を煽り、高額な契約を結ばせる営業手法が今も見られます。その点、利益を追う必要のない自治体運営のサービスは、少なくとも煽られる心配がありません。条件に該当するなら、11,000円で2年間の選択肢を確保しておく価値は十分にあります。
最後に、この記事で示した3.3%という数字の受け止め方について触れておきます。登録者100人のうち3人が結婚した——これを低いと見るか、2年弱の累計としては妥当と見るかは人によるでしょう。ただ確かなのは、この数字が「盛られていない」ということです。分母をいじる動機も、定義をずらす動機も、運営側にはありません。
婚活で判断を誤る最大の原因は、比較できない数字を並べて比較してしまうことです。20%という数字と3.3%という数字が、まったく違う計算式から出ていることを知っていれば、営業トークに流されることもなくなります。数字の大きさではなく、その数字が何を数えたものかを見る。これはTOKYO縁結びに限らず、どの婚活サービスを検討するときにも通用する視点です。
※本記事に記載の実績数値は2026年6月30日時点の公表値、料金・条件は2026年9月時点の情報に基づきます。最新の内容は東京都「TOKYOふたりSTORY」公式サイトでご確認ください。



